平均賃金(=給付基礎日額)の計算方法

1:はじめに

 労災保険の給付では、“給付基礎日額の〜%支給”といった内容で支給されることが多いです。 この『給付基礎日額』とは、労働基準法における『平均賃金』に相当するものとなりますが、平均賃金の計算を知らないと分かりませんね。

そういうことで、今回は労働基準法の平均賃金の計算方法を解説します。


2:平均賃金(=給付基礎日額)の計算方法

 月末締め月給制(完全月給制および日給月給制)の場合、平均賃金は算定事由発生時の、 直前の3ヶ月間の賃金総額に、その3ヶ月間の総日数を除したものになります。

 例えば、基本給19万円、住宅手当1万8千円、通勤手当2千円、食事手当て1,500円、一ヵ月総額21万1500円のAさんが、 7月8日に労災事故を起こし休業補償給付を請求する場合、給付の基礎となる給付基礎日額(平均賃金に相当する額)はいくらになるか計算してみましょう。

 まず、直前の3ヶ月とは、4〜6月(7月に事故していますので)の3ヶ月となり、その間の総日数は91日です。 ここで注意点としては、総日数は休日も含めた暦日で、総労働日数ではありません。

 そして、その間Aさんは残業をしておらず、計634,500円賃金として支給されました。

算定月算定日数総賃金
1月目4月30日211,500円
2月目5月31日211,500円
3月目6月30日211,500円
3ヶ月合計4〜6月91日634,500円

よって、
平均賃金 = 634,500円 ÷ 91日 = 6972.52円(小数第2位未満切捨て)となります。


※ 平均賃金の計算方法(原則)

先ほどの平均賃金の計算は、月末締めの会社のみに適用されます。
衛生管理者等の労務管理関係の資格を取得する場合、以下の労働基準法上の原則をおさえて下さい。

『事由の発生した日』とは、具体的に以下の通りになります。

事由事由発生日
解雇予告手当労働者に解雇通告をした日
休業手当休業最初の日
年次有給休暇※1年次有給休暇を与えた日
災害補償負傷の場合は事故発生日、疾病の場合は発生確定日
減給制裁制裁の意思表示が相手方に到達した日

例えば制裁関係では、減給や解雇をした日ではありませんので注意してください。

※1・・・労働基準法では、@平均賃金 A所定時間労働した場合に支払われる通常の賃金 B健康保険の標準報酬日額ベース(協定必要)  のいずれかをベースに有給休暇の賃金を算出することになっています。


3:算定期間から控除される期間と賃金

総賃金や総日数から、以下の分は除かれます。

 ・業務災害による休業期間・・・通勤災害による休業期間は控除されません
 ・産前産後の休業期間
 ・使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
 ・育児・介護休業期間
 ・試みの使用期間


4:賃金総額に算入されない賃金

総賃金から、以下の分は除かれます。

 ・臨時に支払われた賃金
 ・3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金・・・ボーナス等
 ・法令や労働協約に基づいて支払われるもの以外の現物給付


5:期間契約社員やアルバイト等の平均賃金

賃金が日給、時間給、出来高払いその他の請負制による場合、以下の計算で平均賃金が求められます。

働く日数が少ない場合、総日数で除したのでは不利になるので、このような措置となっています。


6:他の社会保険の給付は、平均賃金ベースではありません

労災保険の所得に基づく給付関係は、今回の平均賃金を使っていますが、 雇用保険は『休業開始時賃金日額』、健康保険は『標準報酬日額』をベースに計算しますので、例えば『育児休業基本給付金』あるいは、『傷病手当金』、 『出産手当金』は、今回の平均賃金からは算出されません。