大林ファシリティーズ事件 最高裁第二小法廷判 労判946.31

1:あらまし

 原告はマンションの住込み管理員であった女性で、亡夫と夫婦で当該労働に就いていました。

 就業規則では平日の労働時間が9時〜18時とされていましたが、実際は朝7時にゴミ捨て場を開錠したり、 夜10時に管理室を消灯するといった時間外業務が断続的に発生していました。そこで原告は、その時間分の不払い残業代等を、 被告である雇用主の『大林ファシリティーズ』に対して、請求しました。

 判決では、「所定労働時間外も、住民対応せざるを得ない状態であり、 実質的に会社の指揮命令下に置かれていたと言うことができる。 よって、朝7時から管理室を消灯する夜10時までの待機の時間も労働時間とすべきである」と判断しました。 そして、“管理員としての業務とは関係ない犬の散歩や通院等の私的行為”を除き、平日の労働時間を7時〜22時と認定としたうえで、 不払い残業代の支払を被告に対し命じました。


2:考察

 ポイントは、就業規則で定められていた時間外に、断続的に業務が発生するので、 実際はその間もずっと住民対応をせざるを得なかったということです。 管理室に電気がついていれば、住民としては“電気がついている以上対応してくれるだろう”と頼りにしてしまいますからね。

 施設の施錠とか、管理室の消灯といった作業は、仕事としては軽度であるかもしれませんし、 それ以外の時間は、特にに問題がなければ何もしなくても構わない時間(不活動時間)であったとします。 しかし、いくら不活動時間が多いといっても、その間もし何か住民にトラブルでもあれば対応しなければなりません。 このことから、客観的に「会社の指揮命令下に置かれていたもの」と捉えることができます。よって時間外労働となります。

 このように最高裁では、就業規則が云々という観点ではなく、実質的、客観的に判断されます。